1 〔論 文〕 はじめに アマルティア・セン(Amartya Sen, 1933-)1) は,厚生経済学の分野で重要な業績をつくり出 すとともに,経済学を倫理学に結びつける研究 を行った。センの業績は多岐にわたる。個人の 福祉を実現する社会的決定を研究する厚生経済 学では,社会的選択理論が重要なテーマとな る。センはこの分野で,先輩のケネス・アロー (1921-)の業績を受け継ぎながら,彼自身が重 要な発見を行った。それは,個人の自由な選択 を認める「リベラリズム」と,全員一致の選好 を社会的決定とする「パレート原理」とは,両 立しないという「リベラル・パラドックス」の 発見である。そして彼はその解決も探求した。 また,センは,貧困や不平等の経済学を論じ た。ジョン・ロールズ(1921-2002)は,『正義 論』(1971)2) において,功利主義が快楽の増 大を基準として「最大多数
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