何が一番違うかといって、かつては、皆歌手を目指し、結果的にアイドルのポジションに収まった。今や彼女らには、音楽家/歌手であることへの執着やこだわりは、それほどないようにも見受けられる。それが証拠に、グループを辞めたあと、あらためて本格的に歌手を目指し、そして大成功を収めたという例はないとまではいわぬけれど、ほぼそれに近い。 一方、昨今のアイドルを支えるファン達が、ご贔屓の何を愛でるといって、歌唱力! というのもあまり聞かぬ話だ。 総じて。俯瞰してみれば、この令和のアイドル産業に於いては、需要供給共々、構成要素として、音楽そのものへ求めるものの比率は――相対的にいって――低下しているのではないか? というのが俺の見立てだが、かかる論点に立ちシーンを検証してみると、なるほどと思える傾向も、散見されぬ訳でもない。すなわち“保守化”である。 Time Warp/Perfume(Universal)