政府の教育再生実行会議が2013年10月31日に提出した第四次提言「高等学校教育と大学教育との接続・大学入学者選抜の在り方について」が、広範な社会的注目を集めたことは周知の通りである。提出に先立って毎日新聞が10月11日付朝刊において「国公立大 2次の学力試験廃止 面接や論文に 人物重視 教育再生会議検討」と報じたこと(*1)を一因として、かなり誤った形での注目や議論が広がっていることは憂慮すべきだ。 まず確認しておくべきは、上記の第四次提言では「2次の学力試験廃止」を謳っているわけではない。毎日新聞の記事は、下村文科相への単独インタビューに基づいたものであり、同日に開催された会見でも文科相は言葉を濁しているが、提言の本文には「各大学が個別に行う学力検査については、知識偏重の試験にならないよう積極的に改善を図る」との記載がある。文科相個人の意向がいかなるものであれ、提言自体は個々の大学が実