次に起こる事象の確率が、現在の状態のみによって決まり、過去の振る舞いに一切依存しない確率過程。ランダムウオークなどの物理現象の時間発展に見られる。ロシアの数学者A=マルコフが考案。 時間とともに変動する偶然量の数学的モデルとしての確率過程{Xt,t∈T}を考える。Tは時間の集合,Xtは時刻tごとに定まる確率変数(偶然量の値)である。Xtの値を指定すると,t以後の変量{Xs,s≧t}の確率法則が,t以前の変量{Xs,s≦t}のあり方に無関係に定まるとき,確率過程はマルコフ過程と呼ばれる。Xtの値がxであるという条件の下で,s時間後の変量Xt+sが集合Eに属する確率をマルコフ過程の推移確率という。とくにこの確率がtに依存しないとき,これをPs(x,E)と表し,マルコフ過程を時間的に一様であるという。そのようなマルコフ過程は推移確率と初期分布,すなわちt=0での変量X0の分布により定まる。 T=