戸田: 米大手証券のリーマン・ブラザーズの経営破綻を機に、世界を巻き込む金融不安が起きています。今の状況をどのようにとらえていますか。 佐藤: 投資家の時間軸が短くなり、長期的な視点を見失った結果ではないでしょうか。決算発表を見ても、年次だったのが半期となり、四半期となり、ついには月次にした会社も現れています。タイムラグのない透明な報告は好ましいですが、目先の数字ばかり追い求める経営は企業価値を創造するという観点からは決して好ましくありません。 米証券会社の破綻は、行き過ぎた短期化への警告ととらえることができます。今回、世界の株式市場が同時に下落したことで、市場経済そのものを疑う声がありますが、私はそうは思いません。リーマンなど投資銀行のような「短期市場主義(=投機)」の時代が終わり、株式投資で世界一の個人資産を築いたウォーレン・バフェットに代表される本質価値に基づく「長期投資」に流れが向