[読了時間:7分] レイチェル・ボッツマン/ルー・ロジャース著『シェア 〈共有〉からビジネスを生みだす新戦略』(NHK出版 2010年12月刊) 「太平洋ゴミベルト」をご存知だろうか。 日本の東、ハワイの西に位置する太平洋のはるか沖合に存在する巨大なゴミの渦巻きだ。テキサス州の2倍の面積があり、場所によって30メートル以上の深さに達する。 9割はプラスチックで、世界中から流れついたペットボトル、おもちゃ、靴、ライター、歯ブラシ、網、おしゃぶり、ラップフィルム、使い捨て容器、ポリ袋などのゴミの寄せ集めだ。1997年8月、環境活動家チャールズ・ムーアが航海中にはじめて遭遇し、その存在が広く知られるようになった。 「もうたくさんだ」と題した本書の第1章は、大量生産、大量消費文明に警告を発するところからスタートする。 過去200年にわたる産業の成長はネズミ講といってもおかしくない。人間は天然資源を