皆さんは「呪う」という言葉をご存知ですね。相手――それが人間であろうと、団体であろうと、出来事であろうとー―その価値を否定し、その存在を拒否し、相手が不幸になるように願い、この世から排除してしまいたいと願う・・・そういう気持ちを感情をこめて表明したものが「呪い」です。 実は、私たちは、ふだん何気なく、呪いの言葉を吐き続けています。「そんなことはしていない」と思う人もあるかも知れません。けれども、私たちは、人のすることや世の中の出来事を見て、非難したり、憤慨したり、軽蔑したりすることがあるのではないでしょうか。それはすべて程度の軽い呪いなのです。たとえ「相手が悪い」ということが明白である場合でも、非難することは呪いなのです。 いま、私たちの世界は、毎日毎日、悲惨なニュースを聞かない日はありません。戦争、テロ、難民、汚職、犯罪、伝染病、公害、気象異変、地震、食糧危機・・・人間の世界も自然界