「身捨つるほどの祖国はありや」というタイトルの、寺山修司名言集が出版されています。寺山さんという方はたいそう名言の多かった方らしく、いろいろなものが載っていたのですが、その中の一つに「「さらばハイセイコー」より」というものがありました。以下のようなものです。 「ふりむくな ふりむくな うしろには夢がない」 これだけ見ると、ほぉ、という程度のものです。ただ、たまたま私は全文を見たことがありました。全文にとってはこの部分、確かに肝の部分ではあるのですが、抜粋しているのがここだけのために、言葉の持つ重さが激減していると思うのです。以下が全文です。 ふりむくと一人の少年が立っている彼はハイセイコーが勝つたびうれしくてカレーライスを三杯も食べた ふりむくと一人の失業者が立っている彼はハイセイコーの馬券の配当で病気の妻に手鏡を買ってやった ふりむくと一人の足の悪い車椅子の少女がいる彼女はテレビのハイセ