「私たちは“聴覚障害者”ではありません。“手話を使う人”です」 「手話」がどのような言語であり、「手話を使って生きる」ことがどのようなことなのか、私たちは本当に知っているだろうか。 じつは「ろう者」の人たちがネイティブに使う独自の手話は、「日本語」の文法とは異なった言語なのである。 神奈川県立平塚ろう学校、小学2年生の教室。小さな手をひらひらとさせて、5人の子どもたちが日本語の勉強をしている。幼いころから耳の聞こえない「ろう者」独自の手話で生きてきた子どもたちが、初めて日本語を習う教室である。カルタをとってひらがなを覚え、手話にはない「て・に・を・は」が分からず困惑する子どもたち。自身もろう者の加藤小夜里(さより)先生は、一つ一つ身振りと豊かな表情で子どもたちを導いてゆく。 日本のろう学校小学部で行われてきた「ろう教育」は、かつて手話を使うことを禁じ、「口話(口の形と発声を覚えさせる)」を