大震災から1年たったが、この間に職業上考えさせられたのは自治体システムのことだ。3年ほど前にその基本設計情報「CONCEPTWARE/自治体」をまとめて未完成のまま公開したのだが、あることに気づいて更新をやめてしまっていた。何に気づいたかというと、「住基ネット(住民基本台帳ネットワークシステム)の機能を包含する自治体システムが日本にたった1個あればいい」ということだ。全自治体がそれを使いさえすれば、いろいろな無駄や不便が霧散解消する。震災後にそのことをあらためて痛感させられた。 住基ネットの機能を包含した形の自治体システム――その何がうれしいのか。それは多重化されたサーバ上にあって、全自治体の職員が使う。ふだんは自分たちのセグメントにログインして仕事をするが、災害などの非常時には必要に応じて他自治体向けのセグメントにログインして、そこの住民向けの事務処理を代行する(これを職権代行と呼ぼう)