08年の9月15日のリーマンショックからわずか3ヵ月弱のことだった。日本企業はいっせいに派遣切りに走り、特に寮生活を送っていた製造業の非正規社員たちは、住む家も失った。筆者が出張で訪れたJR名古屋駅で、まだ20代と思しき若者が、自販機のつり銭受けに手を入れている姿を目撃したのもちょうど08年の年末だった。 職を失った人たちが日比谷公園に集まった「年越し派遣村」から約10年。時代は変わって令和になった。当時、怒りに震えて、失意に打ちひしがれた彼ら、彼女らはあれからどうしているのだろうか。 「いま僕はネトウヨと呼ばれています。正直、心外ですけどね」 東京・池袋の居酒屋で数年ぶりに再会した男は開口一番、こう語った。筆者は約12年前、非正規雇用の労働問題をよく取材していたのだが、その時に知り合ったのが彼だった。彼は当時、パナソニックを相手に労働争議を戦っていた。 今年、46歳となる岡田正雄(仮名)