昨年夏、1人の若者が自らの命を絶った。上野將人さん23歳。だが、写真を見るとまだ少年のように見える。幼い頃の小児がん治療の影響で、身長が伸びなかったのだ。残されたパソコンには、「不公平だ。ボクのせいじゃないのに」とあった。 子どもの死因で一番多いのが小児がんだ。白血病、脳腫瘍、リンパ腫など、かつては不治の病だったが、治療法の進歩でいま10万人が克服している。しかし、その半分が何らかの障害や後遺症に苦しんでいるという。抗がん剤などの影響が成長とともに現れるのだ。「晩期合併症」という。 「晩期合併症」で低身長や骨粗鬆症 將人さんは1歳のとき神経芽腫と診断された。神経のがんの一種だ。当時は2人に1人は死ぬとされ、強い抗がん剤が使われた。5年後、医師から完治したと告げられた。小学生時代の活発な男の子の映像が残る。高学年になって異常が出た。身長が伸びないのだ。同級生と並んだ写真で、將人さんの頭は同級