2020年8月15日に三一書房から『日本政治の病理-丸山眞男の「執拗低音」と「開国」に読むー』を出版して早くも3年半余になります。 私が丸山眞男の日本政治思想史研究の成果の中でもっとも共感を覚えたのが「執拗低音」と「開国」に関する論述でした。私自身が実務体験の中で日本政治の病理に関して培った問題意識はこの二つのキーワードに集中されているからです。 日本の政治思想は「普遍の意識」を欠いており、それ故に「個」の確立が難しく、集団に埋没する傾向を脱し得ない。そこに日本政治の病理の根幹がある。この病理を剔抉するためには「開国」(今日的条件のもとでは、多民族国家への生まれ変わりという荒療治)が不可欠である。 以上がこの本の中心的メッセージです。 残念ながら、出版社による価格設定が根本的に間違っていた(¥2500+税)こともあり、買い求めて読んでくださる方はほとんどないまま今日に至っています。しかし、