動機と準備 第 3 部では,回転軸からだけ離れた位置にある質点の慣性モーメントが と表せる理由を説明した.多数の質点が集まっている場合にはそれら全ての和を取ればいいし,連続したかたまりについて計算したければ各点の位置と密度を積分すればいい.このを使えば角速度と角運動量の間に という関係が成り立つのだった. しかしこれでは不便なところがある.一旦回転軸の方向を決めてその軸の周りの慣性モーメントを計算したら,その値はその回転軸に対してしか使えないのである.まぁ当たり前の話ではある.軸の方向を変えたらその都度計算し直してやればいいだけの話だ.それで満足できる人はそれでいい.この先も読まなくてもいい. しかし回転軸の方向をほんの少しだけ変更したらどうなるのだろう.元から少しずらしただけなのだから,慣性モーメントには少しの変化があるだけに違いない.わざわざ一から計算し直さなくても何か楽に求められるよ
![力学:慣性モーメントテンソル](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/2cd606772989f3b7a3270dac02cb0e292123d988/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Feman-physics.net%2Fimages%2Fogp202011.png)