ドイツの10万人都市での取材・観察をとおして執筆活動を行っている私は、日本の大学・自治体などから講演を依頼されることがある。そこでよくいただくのが「ドイツのまちづくりについて」というお題だ。 私は、このお題にいつも軽い違和感を覚える。というのも、直訳できるドイツ語が思いつかないからだ。換言すれば、「まちづくり」とは日本独自の用語なのだ。学術的にも、ドイツでは日本のコミュニティや都市計画に焦点を当てた研究の中で、日本特有の用語として扱われている。 そもそも、日本ではいつからこの言葉が使われるようになったのだろうか。調べてみると、専門家の間では随分前から使われていて、文献ベースでは1947年にすでに見られる。使われる頻度が増え始めたのは、後述するように1990年代からだろう。私が2000年代半ばにドイツから一時帰国したとき、NPO関係者との話の中で「まちづくり系の人たち」という言葉が耳に入って
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