車体の揺れをセンサーで感知して抑えるなど、先端技術を結集した東北新幹線「はやぶさ」だが、すらりと伸びた特徴的な「顔」は、町工場の職人の手仕事で生み出されている。 「カーン、カーン」。甲高い金属音が、スレートぶきの小さな工場に響いた。山口県下松市にある「山下工業所」(従業員35人)。金属板を金づちでたたいて成形する「打ち出し」の技術で、初代新幹線の試作車から23種類約350台分の先頭車両を造ってきた。 打ち出し職人は36〜66歳の8人。用意された骨組みの形を目視で読み取り、外壁となる厚さ数ミリのアルミ合金板を、3、4種類の金づちを使い分けて成形する。途中で骨組みにかぶせて木づちでたたき、音で隙間の有無を確認して手直し。3〜10回ほどこの工程を繰り返し、骨組みにぴたりとはまる板を造り上げ、骨組みに溶接する。