2. はじめに 僕自身がゲームシナリオの構成論めいたものを考えはじめて、10年ぐらい経つ。 元々のひな形は、10年前のある日、崩壊間もないプロジェクトの戦後処理をしている、とあるチームのヘルプに入るに当たって、どう考えても面白 くなりそうもない前任者のプロットを前に、どうすればこれが面白くなるのか考えていた矢先のこと。朝、出勤する前にシャワーを浴びていてフト思 いついたことがすべての始まりだった。 それまで僕が読んだ様々なゲームシナリオの構成論は、そのほとんどが映画シナリオの構成論を元にしていて、それ自体は非常に有益なものでは あったが、当時の僕が手がけていたシナリオはギャルゲー、それもマルチエンディングのタイトルだった。 マルチエンディングタイトルには、当たり前だが複数のエンドがある。一方、それまで学んでいた映画流のシナリオ構成法では、エンディングはただ のひとつ。ということは、マルチエ