小泉:私が一番珍しかった食べ物というのはアルゼンチンのヒルの腸詰めでしょうね。山の上にいる農家なんですけれども牛を三頭飼っているんですよ。ところが近くに海もなければ川もないわけです。池もないので魚があまりとれない。でも、タンパク質を補給しないと育ちざかりの子供達が困るので、お父さんとお母さんが裏山へ行って親指の爪ぐらいの血吸いヒルを毎日、夕方に10匹位とってくるんです。日課ですな。それを牛の背中につけておくのです。すると山の中で飢餓状態におかれていたヒルは、すぐに牛にアタックするわけです。ヒルというのは自分の体の三倍ぐらい血を吸うわけですから、長かったからだがまんまるにふくれてくるのです。 -えっ、親指ぐらいあったのが三倍というと…… 小泉:だからすごい。色は巨峰というぶどうと同じで、大型の巨峰ふた周りぐらい大きくしたようなヒルになっちゃうんです。それが重くなるから牛が動くと下に落っこっち