(英エコノミスト誌 2011年9月17日号) ユーロ圏の解体という惨事の影響は計り知れないだけに、なおさら恐ろしい。 ユーロを救う対策のコストは、救済しない場合の結果が恐ろしすぎて考えられないという主張によって正当化されている。 しかし、経済史には、後に固定が解かれた固定為替相場の例がいくつもある。通貨同盟の解体は、それより稀ではあるが、時折起きている。 では、ユーロを維持するコストは、ユーロが崩壊するコストと比べて高いのだろうか安いのだろうか? この質問に簡単な答えはない。まず、ユーロ圏の崩壊と言っても、様々な展開がある。各国がそれぞれ元の通貨に戻る大規模な崩壊もあるし、欧州北部のハードカレンシー圏と南部のソフトカレンシー圏への分裂もある。少数の国が離脱することもあれば、退場する国が1つだけの場合もあるだろう。 さらに、立ち去る国と残る国が崩壊後に行う様々な選択によって、さらに複雑さが増