イスラム教について比較的理解があると思われるサイトでは、「イスラム教」のことを「イスラーム」(もしくは「イスラム」)、イスラム教徒のことを「ムスリム」と呼ぶのが比較的一般的なものと思われる。しかし私はこれらに疑問を持っている。 まず、「イスラム教徒」を「ムスリム」と呼ぶ件について。 最初に「イスラム教徒」の定義をしよう。「イスラム教徒」という言葉の意味するものが「ムハンマドを創始者とする『イスラム教』の信者」であるということには、恐らく疑問の余地はあるまい。ここで重要な点は、「イスラム教」以前、すなわち大雑把に言って6世紀以前には「イスラム教徒」は存在していなかったことになる。 一方、「ムスリム」とは何であろうか? 非イスラム教徒は「ムスリム」=「イスラム教徒」としているが、「イスラム教徒」にとってはそうではないようである。それは、そもそも「ムスリム」とはアラビア語で(神に)「帰依した者」