日本でも、薬価の設定に際して費用対効果分析(Cost-effectiveness analysis [CEA])を積極的に用いようという流れになってきています。これ自体は素晴らしい流れだと思うのですが、いくつか注意点があるのでここでご説明します。 まずは、CEAはあくまでも費用と効果の比ですので、製薬会社が薬価を引き下げていけばどこかで必ず「費用対効果に優れる」という結論にたどり着くということです。薬価が固定されていれば、費用対効果に優れる薬やデバイスだけを保険でカバーする、という本来の目的通りに使えるのですが、実際には費用対効果に優れるという結果が出るところまで薬価を引き下げるという効果しか無いかもしれません(このようにCEAの解析を逆計算し、費用対効果に優れるように薬価を推定する方法をValue-based pricingやThreshold pricing modelと呼びます)。さ
![費用対効果分析の限界と問題点](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/1c7ba93e45769d63ea7d906e78851ecb0203716e/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fhealthpolicyhealthecon.files.wordpress.com%2F2016%2F05%2Fdecisionanalysis.jpg)