実質賃金という言葉が注目されている。どうなれば実質賃金は上昇するのか。コストプッシュ型の物価上昇のときは、実質賃金は低下しやすくなる。そうではなく、生産性が上昇して、値上げなしに付加価値が増えるとき実質賃金は上昇する。ならば円安のときは実質賃金は上昇するのか。このケースでも、実質賃金は上がりにくい。なぜならば、企業が円安のときも将来の円高を警戒することで名目賃金が抑制され、一方で輸入物価上昇によって実質賃金が下がることが起こるからだ。 実質賃金とは 毎月勤労統計に注目が集まり、2018 年の実質賃金が低下したかどうかが話題になっている。この実質賃金の低下はなぜ起こるのだろうか。そして、実質賃金が上昇するためにはどうなればよいのか。問題の影に隠れた論点を洗い出してみたい。 実質賃金とは、現金給与総額の伸び率から、物価上昇率を差し引いた正味の賃金上昇率を指す。生活は、物価上昇率を上回るだけの賃