1964(昭和39)年の東京、銀座みゆき通りに現れた風変わりなファッションの若者たち。“みゆき族”と呼ばれた彼らは、こんな格好をしていた。 アウターはナチュラルショルダーでずん胴型シルエットのスーツやブレザー。インナーは洗いざらしのボタンダウンシャツ。ボトムはシンプルなコットンパンツで、なぜかくるぶしが見えるほど裾を上げている。小脇に抱えているのは、「VAN」のロゴが入った紙袋……。 アイビールックはアメリカに生まれ、日本ではVANヂャケットが火を付けて大きなブームになった。団塊の世代にとっては、リアルタイムで経験した大きなファッションムーブメントであり、60年代以降の若者文化の象徴として語られることも多い。 彼らのファッションは洋服だけに止まらなかった。ヘアスタイルも、短髪を七三分けにしてきちんと整えるアイビーカットに変わったのである。 40年代のGIカット、50年代の慎太郎カットに代表