米財務長官のジャック・ルー氏の発言が、ちょっとした話題になっている。 「強いドルは米国にとっていいことだ」 ルー財務長官は、講演でそう語ったという。 実際、ここのところの動きをみると、米国が「強いドル」を許容しているように映るのだが、実はこのルー財務長官が、現在の日本経済にとって頼もしい「味方」となる可能性がある。その理由をご説明しよう。 日本ではこれまで日本銀行が金融引き締めを行ってきたので、世界の通貨に比べて円の流通量が少なくなり、その「希少性」によって円高になっていた。円高傾向は、安倍政権誕生以降の日銀の政策転換=金融緩和で少し是正されてきたが、それでも現在の水準はやっとリーマン・ショック前に戻ったくらいである。 日本経済は円安のほうが調子がよくなる。円安になれば輸出が増えるか、輸出が増えなくても円建てでの海外投資収益は増える。どちらにしても輸出関連企業としては恵みの雨となるからだ。