曇り空を眺めていたら、去年の夏に缶ビールと買ったばかりのデジカメを持ってふらふらと実家の周りを散歩したときのことを想いだした。高校の野球部の練習を眺めたり、畑から飛び出してきたバッタに驚かされたり、川に向かって石ころを投げたり。たわいもない休日。周りからみたらただの酔っ払い。恐らく、低い高度にたちこめる雲の層に僕の気持ちも下へ、下へと圧迫されているのではないか。雲の圧力。僕は反発する。僕は、僕のハートだけは梅雨入りしないよ。僕の魂だけは湿らせやしないぜ。カモン、雨雲。そんな反発が、なんでもない一日の記憶を喚起させたのだろう。部屋に帰り、カレンダーを確認すると6月は祝祭日がないってことを知ってしまい、あっけなく心身共に本格的に梅雨入り。僕の梅雨へのレジスタンスは抗戦することなく白旗を掲げたのだ。 雨雲の下のジメジメとした湿気のなかでも、僕はやっぱり葉っぱの裏を這うナメクジのようにジメジメと水