政治季評 重田園江さん アニマルウェルフェア(動物福祉)という言葉がある。主に家畜の扱いに関係し、動物愛護より広い対象を含む、欧州発の考えである。 ペットの暮らしの質には、日本でも近年関心が高まっている。保健所での殺処分を減らす、地域猫を不妊手術して適切な環境で暮らせるようにする、ペットショップでの幼体販売に規制を行うなど、様々な試みがなされている。また、「生き物を愛玩目的で売買する」こと自体に抵抗感を持つ人も増えている。 これに対して家畜については、日本ではとても関心が低い。いかに家畜がモノのように扱われているかは、鳥や豚にインフルエンザが流行した際の殺処分数から分かる。今シーズンの鳥インフルによる殺処分はすでに1千万羽を超えた。鶏たちは主に炭酸ガスで殺されるが、報道では鶏の命への配慮より、鶏肉や卵の価格上昇への懸念が語られている。 人間にたとえるなら、新型コ…