「どれほど似ているか」 [著]キム・ボヨン ここ数年、韓国のSF界が活況を呈している。日本でも、キム・チョヨプやチョン・ソンランの本が次々と翻訳されてきた。キム・ボヨンは、その中でも早くから活動しており、英語圏でも注目を集める作家だ。 近年の韓国におけるSFブームの特徴は、フェミニズムSFの放つ存在感にある。多くの作家が、ジェンダーの視点を取り入れて女性差別や家族の問題を描く。「男性が宇宙船に乗って戦争に行く」といった古風な物語に慣れていると、新鮮な驚きに遭遇するだろう。 表題作の「どれほど似ているか」は、このフェミニズムSFの手法を用いた作品だ。物語は、ある宇宙船のAIが人型の義体に転送されて目覚める場面から始まる。この船には土星の衛星にある基地に救援物資を届ける任務があるのだが、男性の船員たちはAIと協力して任務に取り組むどころか、露骨な敵意を向け、暴行を加える。 一体、なぜ彼らは自分