↑新刊:戦略の格言↑ イギリスでの留学生活を実況生中継。核兵器が全てを変えた――ブレジンスキーの反論 時には学者でもある私は、理論の持つ力には一定の理解を示しているつもりだ。しかし(少なくとも国際関係論の)理論というものは、本質的に「後付け」の理論である。つまり、ある理論に一致しないような出来事が起こっても、その理論は(否定されるのではなく)単に修正されて行くだけなのだ。そして私はアメリカと中国の関係にもこれが当てはまるのではないかと疑っている。 我々は、覇権国が互いを社会的に消滅させることなく戦争に突入できた時代とは非常に異なる時代に生きている。すでに米ソ間の競争によって明らかになったように、「核の時代」というのは力の政治を変化させてしまったからだ。冷戦時代のにらみ合いの中で正面衝突が避けられてきたのは、戦争がエスカレートしていくプロセスの中に「社会の完全消滅」ということを組み込むこ