3.11に東北沿岸を襲った巨大津波は、街々を嘗め尽くした後に、甚大な規模の火災を引き起こしていた。人々は、激震と津波を相次いで経験し、やっと生き延びたかと思った矢先に、広がる火災の炎に包まれ、それで命を落とした人も多かった。あまり知られることのなかった、この津波火災というべき現象について、NHKスペシャルが光を当てていた。(巨大津波 知られざる脅威) NHKの調べによると、津波の去った後に火災が生じた場所は130地点の多さに上る。何らかの原因で瓦礫に引火し、それがあっという間に広がる。海上で生じた火災も多く、海が燃えたところもある。気仙沼の場合、狭い入江状になった湾の全体が、火に包まれた。 番組は気仙沼で津波火災に遭遇し、万死に一生を得た人たちの恐怖の体験を紹介していた。岡崎さん夫妻は自宅の中にいて津波に遭遇し、必死になって生き残ったところを、火の海に囲まれた。一時はあきらめかけて、奥さん