関税をほとんど例外なく撤廃することを目的とした、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への参加をめぐっては、日本の食糧自給率の低さがたびたび話題になる。「41%」という数字が一人歩きし、世界の安い食料品に日本の農家が押しつぶされる--そんなイメージは、正しいのだろうか。 ―― 「日本の食料自給率は41%、世界最低レベルだ」という言葉は、農業について語る際の枕詞のようになっていますね。 浅川 脊髄反射のように唱える方がいますが、これは実は大変な誤解を招く表現です。 そもそも「食料自給率」とは、農林水産省の定義で、国民が食べている食料のうちどれだけが国産で賄えているかを示す指標です。5種類あるのですが、よく出てくる「41%」というのはカロリーベースでの計算。国民1人、1日当たりの供給カロリーのうち、国産がどれだけかを示すものです。 こう言われると、「実際に食べている食品のうち、どれだけが国産かの