もう1つは、コストが経営者の思惑通りに下がらなかったからだ(ちなみに、この2つの体質は2008年まで一向に改善されず、ついには致命傷となった)。2005年、GMは北米12拠点の閉鎖と3万人の人員削減を実施した。この結果、粗利率は4.8%から9%に上昇したが、2007年には再び8%に低下した(トヨタは18%)。労働組合が強いため、賃金カットはままならず、しかも休職中の従業員に対して所得を補償する米自動車業界特有の慣行がある。さらに、年金や退職者に対する医療費も負担しなくてはならない。 続きを読む 債務超過と退職給付債務の二重苦 ちなみに、時間当たり人件費はGM工場従業員78.21ドルに対して、トヨタ自動車の米国工場従業員47.6ドル。GMの時間単価が高いのは、福利厚生費としての年金・医療費負担(約50ドル)が含まれているからだ。 こうした事情で人件費は簡単には減少しない。生産縮小による工場稼