所持品検査に違法性があったから、抵抗したのは適法――。公務執行妨害などの罪に問われたイラン国籍の男性の刑事裁判で、大阪地裁の長井秀典裁判長は3月上旬、無罪判決(求刑:懲役1年6月)を言い渡した。 報道によると、男性は昨年6月下旬、大阪市浪速区の路上で大阪府警西成署員から職務質問を受けた。その際、駐車中の車内の捜索に承諾したが、署員が車内にあったカバンの中まで調べようとすると抵抗。署員の腕にかみつくなどしたという。 男性は公務執行妨害の疑いで現行犯逮捕された。その後、自宅や車から覚せい剤や大麻などが押収され、覚せい剤取締法違反(所持)などの罪にも問われた。 しかし、長井裁判長は「警官に抵抗するためにかみついており、正当防衛にあたる」として、公務執行妨害について無罪を言い渡した。また、覚せい剤取締法違反などについても無罪とした。なぜ、このような判決になったのだろうか。刑事事件にくわしい岩井羊一