副題にもある通り「問題発見」を扱った本。世に何らかの問題解決を謳った本はそれこそいくらでもあるが、本書は「何が本当の問題なのか」という問題そのものの中味、もっといえば問題認識のあり方と問題へ取り組む際の姿勢に着目した本である。 これは即ち訳者が前口上として述べるように「学校では問題を解くことを教わる。だが問題は、解くより発見する方がずっとむずかしく、ずっと面白い。実人生で本当にものをいうのはそこなのだ」という通り、いくら自分が問題と思っているものでも、その本質を見誤っていれば解決策も的外れとなり効を成さないということである。ところが、世上はもちろん自分自身を顧みても「問題」であふれかえっているにもかかわらず、意外に本書の類書と呼べるものは少ない。これは一種の盲点でもあるのだろうが、そのような発想の転換、「問題」に対するその出発点の部分での重要性の喚起、という意味では貴重な本である。 例えば