それぞれ異なる学問領域を専門とする研究者や批評家が、各々の立脚点から同じ美術展を鑑賞、批評するクロスレビュー。初回は、金沢21世紀美術館で3月まで開かれている、「フェミニズムズ / FEMINISMS」「ぎこちない会話への対応策̶第三波フェミニズムの視点で」の二つの展覧会を取り上げる。社会学者で、フェミニズム研究の第一人者である上野千鶴子氏が読み解く。 「フェミニズムズ/FEMINISMS」展のハイコンテクスト性と批評性 金沢21世紀美術館 上野千鶴子(社会学者)評 その昔、アート界では「フェミニズムのイズムにとらわれない」作品とか「ジェンダーを超えた」表現とかいうディスコース(話法)が、褒め言葉だった時代があった。 今回、出品作家たちに、キュレーターが出展をオファーしたとき、「フェミニズムズ」というタイトルのもとに包摂されることを拒否したりためらったりした作家はひとりもいなかったという。
![上野千鶴子評「ムズムズする」フェミニズムズ/FEMINISMS展|ARTnews JAPAN](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/70cf6b0d15c55be951edd54c6ee7d77804dc982c/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fimage.artnewsjapan.site%2Flove_list_78e3fc1b51.png)