ひとの部屋をのぞき見る機会というのは、通常、身近な人に限られる。やはり部屋というのは、限りなくプライベートな空間であり、そうそう見知らぬ他人には明かさないからだ。 それゆえに、上下巻あわせておよそ300人分の部屋を、一度にのぞき見できる「賃貸宇宙 UNIVERSE for RENT」(ちくま文庫)は、のぞき見という非日常を経験させてくれる貴重な本である。今回は、2005年に刊行されたこちらの本をレビューしてみたい。 本書に掲載されているのは、著者の都築響一氏が1993年から2001年に出合ったおよそ300の部屋である。有名人は一人もいない。著者の言葉を借りるなら、「大したことない人たち」によるリアルな賃貸ルームばかりだ。 ここには、ドラマや雑誌に出てくるようなハイクラスの暮らしは出てこない。より広い部屋で上流の暮らしをしたいといった野心を燃やす人も出てこない。みんな「自分の部屋が居心地いい
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