08年度に全国の児童相談所で対応した虐待相談は4万2662件に上る。児童虐待防止法ができた00年(1万7725件)の2・4倍で、連日120件もの相談が寄せられていることになる。これまで見過ごされてきた軽微なケースまで相談されるようになったとも言われるが、楽観的な見方は許されないだろう。昨年4~6月だけで頭の骨を折るなど生命の危機にさらされていた子が129人、重度の虐待で継続治療が必要な子を加えると597人にも上るというのである。 たしかに、児童虐待防止法ができてからの8年で全国の児童福祉司は1・8倍に増えた。しかし、諸外国の水準に比べると1人の児童福祉司が抱えている虐待件数はまだ圧倒的に多く、深刻なケースに手が回っていないのが現状だ。悲惨な虐待死を防ぐために児童相談所の機能を大幅に高める必要がある。 さらに、隠れている重い被害として性的虐待がある。相談件数は全体の3・2%に過ぎないが、児童