日本近海には天然ガス資源の一種である『メタン・ハイドレート』が大量に眠っている。メタン・ハイドレートとは、メタン分子を水分子が取り囲むような形で固体化した包接化合物で、低い水温と高い圧力のもとで生成する。一種の透明な氷に似ているが、メタンが閉じ込められているので火をつけると燃える。このメタン・ハイドレートの採掘を実用化すべく、国の後押しを受けて研究者たちが最近活発にチャレンジしていることは,新聞報道などで見た人も多いだろう。エネルギー資源をほぼ100%近く輸入に頼っているわたし達の社会にとって、自国内に未開発資源が大量にあるというニュースは心強い限りである。 さて、半年ほど前だが、東大柏キャンパスで開かれた日本船舶海洋工学会の秋期講演会に呼ばれて、「石油・ガス開発における国内産業界の取り組みについて」の題で講演をした。これは『我が国の海洋産業について考える』というオーガナイズド・セッション