ISSCC 2008で、Jeff Hawkins氏が「なぜコンピュータは、もっと脳に近づけないのか? これらのトランジスタで何すべきか?」と題した講演を行った。Hawkins氏というと、Palm PilotやTreoの生みの親として知られるが、この日は脳科学者という同氏のもう1つの顔での登壇だった。 大脳皮質と同じサイズのナプキンを手に形や構造を説明するJeff Hawkins氏 ヒトの知能や学習の仕組みを考える上で同氏が着目しているのが大脳新皮質である。1,000平方センチの広さで、薄さは3ミリ程度。脳の大部分を覆う形になっており、容積は脳全体の60%程度。300億個のニューロンがあると考えられている。ヒトは生まれた時には記憶がなく、その後の生活、特に若い時の経験によって脳の働きを左右する情報が新皮質に蓄えられる。 Hawkins氏によると、新皮質はわれわれが日々の生活で直面する数々の問