現場に行けない。記者にとってこれほどつらいことはない。 私はことし7月まで外務省担当の記者として、日本とロシアの北方領土をめぐる問題を取材してきた。しかし、現場である北方領土には行くことができない。ロシアに不法に占拠されているからだ。私は現場を見ることなしに外交交渉の空中戦を取材するもどかしさに悶々としていた。そんな私に突然、現地に行く機会が飛び込んできた。そこで目にしたものとは。(国際部記者 辻浩平) 「興味があるなら行ってみないか」 きっかけは取材先からのひと言だった。北方領土の元島民などと現地に住むロシア人との交流事業に参加しないかというのだ。 政府などの支援で毎年行われている「ビザ無し交流」の訪問団として、私は国後島と色丹島を訪れることになった。 北方領土は日本固有の領土というのが政府の立場でありながら、簡単に行くことはできない。ロシアが不法に占拠し、通常、現地入りするためにはロシ
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