日本の原子力発電が来月、新たな一歩を踏み出す。九州電力玄海原子力発電所3号機(佐賀県玄海町)が12月2日、国内初のプルサーマル発電の本格運転を開始するからだ。リサイクルしたウラン燃料を一部に使うプルサーマル発電は、資源小国・日本のエネルギー戦略にとって重要な意味を持つ。世界では地球温暖化防止対策として、原子力発電を再評価する動きも広がっている。プルサーマルの実施を機に、日本の原子力発電の現状を検証し、新時代の原子力政策のあり方を探る。 ■急がれる「環境」と「国力」の両立 エネルギー戦略のカギ握る 11月5日午前11時。九州電力玄海原子力発電所3号機で、使用済み核燃料を再利用した16本のウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料体の間に挿入されていた制御棒が引き抜かれ、プルサーマル発電の試運転が始まった。 「まず最初が肝心。野球でいえば、きっちり出塁することが大事だ」。九州電力の眞部