多くの無辜の市民の生命を奪い、若者たちの人生を狂わせた、陰謀と流血、虚栄と野望と絶望が渦巻くイタリアの『鉛の時代』。その物語を現在から俯瞰するうちに、先進国と言われる国々に住むわれわれが、かつて「終戦」を迎えた、というのは、実は幻想なのではないのだろうか、という感覚に陥ります。第2次戦争大戦ののちの冷戦下、朝鮮半島、ヴェトナムなどアジアの国々、南米各国、東欧、中東、そして「ベルリンの壁」崩壊後は中東、アフリカへと戦火の矛先は集中していく。われわれの日常からは遠くとも、爆音と燃え盛る炎は、この地球上から消えたことがありません。 GladioーStay behind( グラディオ作戦ーステイ・ビハインド)のコード名を持つ国際諜報オペレーションを背景に、もはや市民戦争と呼べる騒乱にまで発展した1969年から1984年までの『鉛の時代』と呼ばれるイタリアの15年は、現代のローマの風景からは全く想像