経営者にとって、情報システムは頭痛の種になりがちだ。業務に必須だが投資に見合った効果が出るとは限らない。ほかの設備投資に比べて専門的で難解でもある。 野村総合研究所で約20年間勤務した後に、人材派遣大手スタッフサービスのCIO(最高情報責任者)を務め急成長を支えた著者が、ベンダーとユーザー両方の視点から、“システム屋”の思考回路と、上手な付き合い方を説く。 前回(第27回)で登場したインド人の“システム屋”経営者の言葉をもう1つ紹介したいと思います。彼から「日本企業向けの仕事はもうやりたくない」と言われたことがあります。英語力の問題ではなく、日本人はそもそもシステム開発に向いていないというのが彼の主張です。 これを聞いた私は、その場では苦笑するほかありませんでしたが、日本人の“システム屋”として悔しいという感情が残りました。しかし今ようやく、この意見には反論が可能だという思いに至りました。