虐めっ子が死んだ このあいだ、ブックオフで石川啄木の本を買った。なかにこんな歌があった。 一度でも我に頭を下げさせし 人みな死ねと いのりてしこと すばらしい。解説によると、この「頭を下げる」は「カネを借りるために頭を下げる」ことらしい。どうであれすばらしい。啄木は「俺ほどの人間が」と思い、ついには共産主義やアナーキズムにひかれていったようだ。俺も「俺ほどの人間が」と思って生きている。いや、まったく本当の話だけれど。 嘘でもいいからさわやかな気分になれる話が聞きたい。「虐めっ子が死んだ」。すばらしい。掛け値なしに。 俺もしょっちゅう死ねばいいのにの念を浴びせている。誰に? 昔のいじめっ子に? いや、そんなものよりもっと身近で具体的なもの。目の前を走る高級車、轟音をひびかせる高級オートバイ、軽やかに信号を無視していく高級ロードバイク。俺はさわやかに、フラットに、カジュアルに「死ね、おもしろい