農林水産省は4日、29年前に国内から根絶した柑橘(かんきつ)類の害虫「ミカンコミバエ」が鹿児島県・奄美大島で再び定着する恐れがあるとして、植物防疫法に基づいて、ポンカンなどの農作物の出荷を制限する方針を決めた。 ミカンコミバエは体長7ミリほどの小バエで、柑橘類やマンゴーなどの果実、トマトなどの野菜に産卵。幼虫が寄生すると、腐敗して収穫できなくなる。 農水省によると、奄美では1980年に根絶。最後に残った沖縄でも86年に根絶された。その後も奄美では、東南アジアや台湾などから飛来したとみられる数十匹がわなにかかることがあった。 今年9〜11月、わなにかかったハエが計570匹に達し、周辺の野生の果実から幼虫も見つかった。同省は「卵を産んだ証拠。繁殖している恐れがある」と判断。4日に開いた専門家の検討会議を受けて、対象の農作物の移動禁止や、駆除対策強化の方針を決めた。