先日、あるプロジェクト・マネジメント関係の研究に目を通していたら、要件定義段階における「顧客要求の品質」という表現に出会って、ちょっと驚いた。周知の通り、IT系プロジェクトにおける要件定義とは、顧客のもつ『要求』を引き出し明確化するプロセスのことを言う。ここで作成される要件定義書が、その後のシステム設計の基礎となっていく訳だ。ところが、この顧客の提示してくる要求内容が、しばしば曖昧模糊としており、また部門や担当者の間で相矛盾していたりする。受託側としては非常に悩ましい問題で、たしかに、これ自体がプロジェクトの成否を左右すると言っても過言ではない。 そこでこの発表者は、要求工学やIEEE standard 830: "Recommended Practice for Software Requirements Specifications" などを引用しつつ、正当性・明瞭性・完全性・一貫性・