児童養護施設の改修計画である。施設にはさまざまな事情で親元を離れた、2歳~18歳までの約30名の子供たちが3棟に6つのユニットに分かれて生活している。建物は築30年ほどのハウスメーカーによる2階建てプレハブ系住宅で老朽化が激しかった。既存建物は家というイメージからは遠く、宿舎のような施設としての雰囲気が強く感じられた。改修計画では、構造上間取りの変更は難しく、限られた予算と諸条件の中で子供たちの環境改善が検討された。 【施設から家へ】 そこで家型のモチーフを、「施設を家に変換するツール」と位置づけた。家型は子供が考えたこの施設のシンボルマークでもある。家型を門や駐輪場、建具、テレビ台や収納棚といった家具などに用いる共通したアイコンにすることで、室内外に一体感を持たせた。子供たちの健康を考え、自然素材にこだわり、建具、床、家具などは無垢材、自然系植物性塗料を用いた。共用部の照明は、蛍光灯の青