食中毒は毎年10人に1人がかかっているとされる私たちの身近にある脅威だ。特に卵や食肉などを介した「サルモネラ菌」は、日本では食中毒の1~3割の原因であるとされ、世界的には4大原因疾患にも数えられている危険なヤツだ。 本来は動物の消化管に常在する腸内細菌なのだが、その一部が植物に感染する能力を獲得してしまったそうだ。 そのサルモネラ菌はレタスやほうれん草の防衛メカニズムを潜り抜け、「気孔」という植物が呼吸や水分を放出するために使う孔から葉の内部に滑り込む。 そうして内部に侵入してしまえば、水洗いしても化学処理をしても除去することができないという、私たちの食の安全を脅かす由々しき事態となりつつある。 変異したサルモネラ菌、植物の免疫反応を迂回 菌類や植物細菌なら気孔の入り口を力づくで押し通ってしまうことが知られているが、人間や動物に感染するサルモネラ菌までそんな力を身につけてしまったようだ。