日本の文学作品は少しずつ外国語に翻訳されています。しかしその実情は日本国内でそれほど知られていません。本連載では、翻訳家の小磯洋光さんが「日本語を外国語に翻訳する」人たちにお話しを伺い、日本文学が世界に届けられていく一端を紹介していきます。 翻訳家には、大学などに所属しながら翻訳をする人と、どこにも所属せずもっぱら翻訳を生業にしている人がいる。イギリスのブリストルを拠点にしているポリー・バートン(Polly Barton)さんは後者だ。ポリーさんは、柴崎友香、窪美澄、松田青子、山崎ナオコーラ、角田光代、温又柔といった、現代作家の作品を英語に訳してきた翻訳家で、世に送り出した翻訳は高く評価されている。 ポリーさんとは、お互いに無所属で活動している翻訳家ということにくわえ、齢も近いことから親しくなった。翻訳や小説や詩のことを気軽に話せる相手であり、翻訳家友達のひとりだ。今回は、文芸翻訳家になる