バイデン政権誕生から1年。いまだ混迷を増す米国社会に解決の糸口はあるのだろうか。さらに、米国の国際的なポジションも揺らぐなか、日米関係にも変化が起きつつある。朝日新聞元政治部長の薬師寺克行氏が解説する。 「分裂」と「衰退」──これらが今の米国を象徴する言葉だろう。トランプ前大統領が作り出した内政と外交の混乱の修復を掲げてスタートしたバイデン政権だが、現実は修復どころかより深刻さを増している。その結果、就任から1年目を迎えて、バイデン政権は同盟諸国からかつてないほどの不安と不信のまなざしを浴びている。 米国に最も良好な関係にあると言われる日本も例外ではない。昨年12月、米国がオンラインで開催した「民主主義サミット」をめぐる対立が日米関係の微妙な変化を示している。 このサミットは「民主主義対専制主義の戦い」を強調するバイデン大統領が民主主義の価値を訴え、民主主義国の結束を促すことが目的だった。