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東日本大震災から一夜明けた3月12日午前6時すぎ。菅直人首相は陸自ヘリで官邸屋上を飛び立ち、被災地と東京電力福島第1原発の視察に向かった。秘書官らは「指揮官が官邸を不在にすると、後で批判される」と引き留めたが、決断は揺るがなかった。 「総理、原発は大丈夫なんです。構造上爆発しません」。機内の隣で班目(まだらめ)春樹・内閣府原子力安全委員会委員長が伝えた。原発の安全性をチェックする機関の最高責任者だ。 第1原発は地震で自動停止したものの、原子炉内の圧力が異常に上昇した。東電は格納容器の弁を開放して水蒸気を逃がし、圧力を下げる作業(ベント)を前夜から迫られていた。班目委員長は「視察の前に、作業は当然行われていたと思っていた」と振り返る。だが、着手は遅れた。 首相は官邸に戻った後、周囲に「原発は爆発しないよ」と語った。 1号機でようやくベントが始まったのは午前10時17分。しかし間に合わず、午後
【ロンドン=木村正人】旧ソ連・チェルノブイリ原発事故が起きた1986年から5年間、汚染除去作業の責任者を務めたユーリ・アンドレエフ氏(ロシア)が産経新聞の電話インタビューに対し、「福島第1原発事故に必要なのはチェルノブイリ原発を覆った石棺ではなく、東京電力から独立した技術者の特別チームだ」と指摘した。一問一答は次の通り。 --福島の事故の状況は 「2号機は炉心や原子炉圧力容器が溶融している疑いがある。国際原子力事象評価尺度でチェルノブイリは最悪の7だった。福島の事故は日本がいう5ではなく、最初から6であることは明らかだ。今は6と7の間と判断している」 --状況はなぜ悪化しているのか 「東電の情報が不正確で不足しているからだ。(企業というものは)会社の利益を優先して行動するので作業から外す必要がある。幅広い知識を持つ経験豊富な技術者を日本中から集めて特別チームを編成し、作業に当たらせるべきだ
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